📝未決済建玉(Open Interest/OI)
January 17, 2023
Open Interest(未決済建玉)とは #
市場参加者のポジションの量(ロングとショートの合計). 潜在的なトレンド(売買/値動き)のパワーの総量.
オープンインタレスト. 未決済ポジション. Open Interest, OI, 取組高. オーアイ. Open Value, OVとも.
ポジションの新規と決済をOIの増減で見る #
基礎知識として, OIの増減で新規と決済がわかる.
- OI増加でロング/ショートが新規オープン.
- OI減少でロング/ショートがクローズ決済.
ポイントは, OIが増加したあとに必ず反対方向への決済注文が入るということ. そうすると, OIから将来発生するであろう, 買い注文や売り注文の圧力を読むことができる.
この上昇局面でロングポジションをもったロンガーはどこで利確するのか?または指値で捕まってしまったショーターはどこで損切するのか?
指値と成行の8パターンのマッチングとOIの増加と減少の整理 #
ショートとロングのポジション数は常に同じ. IOが増えるとき, ロングもショートも同数増加している.
価格とOIが上昇しているとロングだけが増えているわけではない. 価格が下落してOIが上昇してもロングが増えてショートも増えている.
成行注文が, 新規ロング, 決済ロング, 新規ショート, 決済ショートの4種類あり, それにマッチする指値注文も新規ロング, 決済ロング, 新規ショート, 決済ショートの4種類あるので,
- 成行新規ロング + 指値新規ショート => +1: 増加
- 成行新規ロング + (ロング保持)指値決済ショート => +1-1: 変化なし
- 成行新規ショート + 指値新規ロング => +1: 増加
- 成行新規ショート + (ショート保持)指値決済ロング => +1-1: 変化なし
- (ロング保持)成行決済ショート + 指値新規ロング => -1+1: 変化なし
- (ロング保持)成行決済ショート + (ショート保持)指値決済ロング => -1: 減少
- (ショート保持)成行決済ロング + 指値新規ショート => -1+1: 変化なし
- (ショート保持)成行決済ロング + (ロング保持)指値決済ショート => -1: 減少
OIという単位がロングとショートのペアでみたときの増加減少を示す. ロングとショートがそれぞれ1つポジションが増えるとIOが+1上がる.
- 成行新規ロング + 指値新規ショート => +1: 増加
- 成行新規ショート + 指値新規ロング => +1: 増加
- (ロング保持)成行決済ショート + (ショート保持)指値決済ロング => -1: 減少
- (ショート保持)成行決済ロング + (ロング保持)指値決済ショート => -1: 減少
OIとトレンド #
OIとは潜在的なトレンド(売買/値動き)のパワーの総量と解釈できる.
上昇トレンドや下降トレンドにおいて, OIをみることでトレンドの勢いを知ることができる.
価格 | OI | トレンド |
---|---|---|
上昇 | 増加 | 強い上昇 |
上昇 | 停滞 | 弱い上昇 |
上昇 | 減少 | 暴落かも |
下落 | 増加 | 強い下降 |
下落 | 停滞 | 弱い下降 |
下落 | 減少 | 暴騰かも |
上昇相場とOI増減 #
価格が上昇しているときのOI増減の整理.
成行 | 指値 | OI |
---|---|---|
新規ロング->L | 新規ショート->S | +1 |
新規ロング->L | L->決済ショート | 0 |
S->決済ロング | 新規ショート->S | 0 |
S->決済ロング | L->決済ショート | -1 |
トレンド時上昇時の局面を上昇開始, 上昇中, 上昇停滞と3つに分類する.
開始局面(ブレイクアウト) #
トレンドに飛び乗るためにいわゆるイナゴが成行新規ロングでポジションを立てる. また, ショートポジションをすでに持っているトレーダーが成行ロング決済する.
- [イナゴ]成行新規ロング->L + 指値新規ショート->S => OI増加
- [ショートカバー]S->成行決済ロング+ 指値新規ショート->S => OI変化なし
この局面では, 1のパターンが2よりも多いためOIは増加.
また, 別のポイントは指値新規ショートによってうっかリショートボジションを持ってしまったショーターの存在. この人たちは価格が上がれば上がるほど不安になってどこかで逃げるために決済する必要がある.
上昇中局面 #
先は読めない状態.
- ブレイクアウトに遅れて反応した人が新規ロングを出すケース.
- ブレイクアウトに遅れて反応した人が損切決済ロングを出すケース.
- ブレイクアウトに素早く反応した人が決済成行ショート.
- ブレイクアウトに素早く反応した人が決済指値ショート.
いずれにしろOIの増減はない.
- [イナゴ]成行新規ロング + [利確]L->指値決済ショート => OI変化なし
- [利確]L->成行決済ショート + [損切]指値新規ロング => OI変化なし
停滞局面 #
上昇局面の組み合わせに加えて, 決済ショートと反転に向けた指値ショートが増加する.
- L->成行決済ショート[利確] + S->指値決済ロング[損切] => -1: 減少
- S->指値決済ロング[損切] + 指値新規ショート[逆張り]->S => OI変化なし
S->指値決済ロング[損切]はロスカットの可能性がある. いずれにしろ, この局面ではOIは減少し, まもなくトレンドは反転する.
下落相場とOI増減 #
価格が下落しているときのOI増減の整理. 上昇相場の反対.
成行 | 指値 | OI |
---|---|---|
新規ショート->S | 新規ロング->L | +1 |
新規ショート->S | S->決済ロング | 0 |
L->決済ショート | 新規ロング->L | 0 |
L->決済ショート | S->決済ロング | -1 |
OIとレンジ #
see also. 💡Open Interestの停滞からレンジ相場を読む
価格が横ばいでOI増加 #
価格が動かないときにOIが増加するということは, 新規にロングとショートのポジションができていて, 売買注文の強さが拮抗している.
ボラティリティが高いレンジ相場. 価格はブラウン運動をするレンジ相場でボラティリティが高くなり, 📝マーケットメイク的には美味しい.
価格が横ばいでOI減少 #
価格が動かないでポジションがクローズされている. ボラティリティは少なく, 注文は活発でない.
価格が横ばいでOIが横ばい #
ポジションのオープンとクローズが拮抗していて, ここからドウなのかはわからない状態.
OI Topics #
OIと売買出来高の関係 #
OIと売買出来高(Buy Sell Volume)の関係について. 売買出来高から逆算して板のデプスを考慮することができる.
OI上昇かつ価格が上昇でも, 買いよりも売りのほうが大きいということは, それはトレンドではなく, 売り板が薄かった可能性があり, そのブレイクアウトはダマシである可能性がある. OI上昇かつ価格が下降も同様.
OI下降かつ価格が上昇の場合, 売りよりも買いのほうが大きいということは, その価格上昇は売板が薄いにも関わらず損切りロングによってつり上がっている可能性がある. この状態で売りより買いが大きくなるとまもなく反転するサイン.
価格 | OI | bvol/svol | DOM |
---|---|---|---|
上昇 | 増加 | < | 売り板が薄い |
上昇 | 増加 | > | 強いトレンド |
上昇 | 減少 | > | 売り板が薄い |
上昇 | 減少 | < | 反転の可能性 |
OI増加を伴わない価格上昇とショートカバー #
OI増加を伴わないのに価格が上昇ということは, 決済による買い注文で価格が一時的に挙がっていく状態. この背後には, ショートカバーの損切りの存在がある.
ショートカバーによる価格上昇は, まもなく上昇前の本来の価格にすぐ戻る. いわゆる, シンプソンチャートと呼ばれるような暴落が待っている.
OIとLiquidationの関係 #
上昇トレンドでOIが増加するということは, 誰かがロングポジションをオープンしたということ. そのあと下降トレンドになると, OIの増加が示すようなロンガーはどこかで損切りしないといけない. もしくは, それらのロンガーは強制ロスカットされる. それはLiquidationのデータを見ると確認できる.
言い換えると, 価格上昇+OIの増加後に下降トレンドになったときに, Liquidationからその捕まったロンガーの行動を読むことができる.
さらに, 損切りショートを従っているロンガーの決済が精算をみることで知ることができれば, その後に上昇相場に反転したときに, 価格上昇を止めるショートがこない可能性を示唆する.
OI計算方法 #
以下は, from. ChatGPT(笑).
It is calculated by taking the total number of new contracts added to a market during a given period, and subtracting the total number of contracts that were closed or settled during that same period.
Here is the formula for calculating open interest:
Open Interest = Number of New Contracts + Previous Open Interest - Number of Closed Contracts
ある期間中に市場に追加された新しい契約数を合計することと、その同じ期間中に決済された契約数を差し引いたものを計算することによって算出されます。
Open Interestの計算方法は以下のようになります。
Open Interest = 新しい契約数 + 以前のOpen Interest - 決済された契約数
OI確認方法 #
閲覧サイト #
- 📈Coinalyzeで海外取引所の情報は閲覧可能.
- 📈TradingLiteでは表示可能.
API取得 #
APIでは取引所が対応しているかどうかかな? 海外の取引所は提供している, たとえばBinanceはAPIで取得可能. 国内はない.
おそらくだが, 取引所が情報公開しないかぎり板情報や約定履歴からは計算できない(調査中). あるポジションが立った時, それが新規なのか決済なのかが判断できない.
Topics #
ビットコインの取引指標で重要なのはOI #
ref. 「大きい値幅にこだわるのではなく市場の歪みや上下当てが可能な部分だけ触る」専業トレーダー よーぶん氏 2/4|Burry Market Research|note
中でも一番大事にしているのはOIです。OIは市場参加者の未決済の建玉の量ですが、これが価格の変動に影響します。
未決済の建玉がどんどん増えれば、市場参加者が増えていると判断できるし、価格が大きく動いて建玉が減れば、多くの人がポジションを解消したんだと分かる。
そうした建玉の動きを見て、価格が反転しそうなのか、まだまだ一方的に動きそうなのか、トレンドはまだ出ないのか、といったことが判断できます。
私はOIがあるから暗号資産で稼げている。そう言えるくらい個人的には大事な指標だと思ってます。
🔗References #
- 記事(en)
- 記事(ja)
- 動画.
- https://oi.kumo.tokyo/